脳機能

脳の可塑性ってなに?どうやって神経は回復するの?【意外と知らない大前提】

 

こんにちは!現役で理学療法士をしているひよこ🐣です。

 

皆さんは「脳の可塑性」についてご存知ですか?

 

ちなみに新人ひよこ🐣は可塑性という言葉から知りませんでした(笑)

 

 

脳卒中後にどうやって神経が回復するかの機序を全く理解していなかったので、 脳血管疾患の患者様は全員、可動域訓練、離床、起立、歩行訓練を何となく行っていました。

 

 

脳の可塑性ってなに?

 

ネットワーク形成って何すればいいか分かんないよ〜

 

 

など、新人ひよこ🐣と同じ悩みを抱えている方はこの記事必見です。

 

 

この記事では以下の4点について記載しています。

・脳の可塑性とは
・脳の可塑性の特徴
・リハビリで脳の可塑性のためにできること
・中枢神経の回復のタイプ

 

 

1つずつ説明しますね!

 

 

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この記事はこの本を参考にして書かせていただきました。

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脳の可塑性ってなに?

 

固体に力を加えて弾性限界を越える変形を与えたとき、力を取り去っても歪(ひず)みがそのまま残る性質。塑性。

 

 

「可塑性」を辞書で調べるとこんな意味のようです。

 

ざっくり言うと力を加えると歪みが残るって意味のようです。

 

 

脳の神経にも可塑性が存在します。

 

学習や経験で行動、スキルに変化が起きることを脳の可塑性と言います。

 

灰白質の増大、ネットワークの構築が脳の可塑性にあたります。

 

脳卒中を発症すると、神経細胞が壊死して、運動麻痺・高次脳機能障害などが起きてしまいます。

 

残存している神経細胞の可塑性による、症状の改善やスキルの再獲得がリハビリの目標となります。

 

 

では、脳の可塑性はどうやったら起きるのでしょうか?神経には以下の2つの特性があります。

 

ポイント

・時間感受性

・経験依存的

 

2つはこの後、掘り下げて説明しますね。

 

 

時間感受性

 

時間感受性とは、脳卒中後に早く、身体の活動性を上げることで可塑性が起きやすいという神経の特徴です。

 

 

上のグラフは介入時期(横軸)とFugl Mayer Assessmentという運動麻痺のスコア(縦軸)の関係を示しています。

 

運動麻痺の推移のグラフは上から「軽度」「中等度」「中等度~重度」「重度」となっています。

 

30日以内の早期介入で「中等度」「中等度~重度」「重度」のFMA(Fugl Mayer Assessment)は大きく改善がみられますね。

 

特に「中等度~重度麻痺」だと早期にガツンとFMAの点数で回復がみられ、「中等度」のスコアに大きく近づきます。

 

このように早期に活動量を上げることで神経可塑性が得られやすいと言えるでしょう!

 

さらに、早期にリハビリを行うメリットは2つあります。

 

 

1つ目は脳の生物学的特徴があるためです。

 

皮質脊髄路の働きは使わないことで低下していまいます。

 

機能が向上しやすい30日以内に訓練を行うことが重要になります。

 

 

2つ目は学習性不使用を防ぐことが出来るためです。

 

発症して早期だと身体を使うイメージが残っています。

 

運動麻痺により、身体を使わないと、「使用しないこと」を学習してしまいます。

 

早期にリハビリを開始することで学習性不使用は防ぐことが出来ます。

 

 

経験依存的

 

経験依存的とは身体の活動量と活動の質によって脳の可塑性が起こる特徴です。

 

ネズミ🐭で実験がされています。

 

 

・ただ、動く訓練をしたネズミ
・狭い空間にリーチして餌をとる訓練をしたネズミ

 

 

2匹のネズミでは、狭い空間にリーチしたネズミ🐭の方が巧緻性に関するスコアが向上したようです。

 

この研究から、課題依存的に機能が向上するということが分かりますね!

 

身体の活動量に関しては、ヘッブの法則はご存知でしょうか?

 

ニューロン間の接合部であるシナプスにおいて、シナプス前ニューロンの繰り返し発火によってシナプス後ニューロンに発火が起こると、そのシナプスの伝達効率が増強される。

 

 

上記がWikipediaの引用です!

 

いっぱい神経が発火すると神経の伝導効率が上がるんですね。

 

使えば使うほど、より使いやすくなるってことです。

 

 

PNFではヘッブの法則で、何度も狙った筋肉に収縮を入れることで動作に変化を与えるアプローチがあります。

 

より、活動量を増やすことは脳の可塑性を促す上では必要ですね!

 

 

脳の可塑性ってリハビリでは何ができるの?

 

脳卒中を発症すると、回復過程でさまざまな可塑性が生じます。

 

急性期には代謝の抑制、急性期を過ぎると血管の新生などですね。

 

 

 

 

 

その中でも、リハビリで変化を与えられるのは以下の2つです。

 

 

ポイント

構造的可塑変化

機能的可塑変化

 

 

この2つをもう少し深掘りしますね。

 

 

構造的可塑変化

 

構造的可塑変化とは、書いた字のそのまま、脳の構造が変化することです。

 

具体的には灰白質の増大、白質繊維の変化などが構造的可塑変化にあたります。

 

 

これらは脳を使うことで変化が起きます。

 

そのためには身体の使用が必要となります。

 

前述した活動量を増やすことで得られる可塑性ですね。

 

イメージとしては、使えば使うほど分厚くなる筋肉と同じです。

 

筋トレをすればするほど、マッチョになるように、身体活動量を上げると灰白質が増大します。

 

 

機能的可塑変化

 

機能的可塑変化とは、ネットワークを形成することで起きる脳の可塑性です。

 

脳の1つの領域だけを働かせるのではなく、様々な領域を関連させてネットワークを作ることが重要になります。

 

機能的可塑変化で運動、多感覚、認知、それぞれの領域が互いに関連して働くことがリハビリの目標となります。

 

そのためにはリハビリの課題で、スキルを要求する必要があります。

 

 

前述しましたが、ネズミ🐭が狭い空間にリーチする課題を訓練すると巧緻性が向上した研究がありました。

 

リーチ課題を行ったネズミには機能的可塑変化が起こったと言えるでしょう。

 

課題志向的に機能的可塑変化が起きたためスキルを獲得できたと考えられます!

 

 

生理的に神経線維はどう変化しているの?

 

脳の可塑性はどうすれば起きやすいか、ここまでまとめさせていただきました。

 

では、脳卒中後に神経線維はどうやって回復が生じるのでしょうか?

 

 

3つのタイプがあるので1つずつ説明します。

 

 

アンマスキング

 

アンマスキングとは普段使用していない経路を使用することです。

 

 

 

使っていない経路のマスクが外れることからUnmaskingと呼ばれます。

 

目的地まで車で移動する時、普段使っている国道が封鎖されていると、中道を使ったりしますよね?

 

アンマスキングもそんなイメージです。

 

 

側芽

 

側芽は損傷された神経線維から再び新しい軸索がのびることです。

 

 

損傷したニューロンから新しい軸索が伸びることで経路が再構築されます。

 

木を切ったあと、そこから新しい枝が育つようなイメージですね。

 

 

神経移植

 

損傷した神経細胞をそのまま移植してしまう方法です。

 

 

 

これからは再生医療として神経移植がメインになるかもしれませんね。

 

ただ、意思決定をしている前頭前野を損傷した時、前頭前野をまるっと新しい神経細胞に移植したとしましょう。

 

それは移植前と同じ人格となるのでしょうか?なんだか不安ですね(笑)

 

 

まとめ

 

まとめです!

 

学習や経験で行動、スキルに変化が起きることを脳の可塑性と言います。

 

脳の可塑性には以下の2つの特性があります。

 

ポイント

時間感受性→早期に活動量を上げることで神経可塑性が得られやすい

経験依存的→身体の活動量と活動の質によって神経の可塑性が起こる

 

 

脳卒中を発症すると、回復過程でさまざまな可塑性が生じます。

 

リハビリでアプローチできるのは以下の2つです。

 

ポイント

構造的可塑変化→脳を使う量を増やすことで変化

機能的可塑変化→様々な領域を関連させてネットワークを作る変化

 

 

中枢神経の回復には3つの種類があります

 

 

アンマスキング

側芽

神経移植

 

 

いかがだったでしょうか?

 

今回は脳の可塑性ってなに?どうやって神経は回復するの?【意外と知らない大前提】についてまとめさせていただきました。

 

この記事が皆様の臨床、実習の一助になると幸いです。

 

読んでくれてありがとうございました!

 

 

 

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  • この記事を書いた人

hiyoko@pt2

現役の理学療法士です ポンコツ理学療法士が1人前になるために勉強したことを発信します ◉分かりにくい脳血管疾患のあれこれ ◉転職・勉強会のすすめ 「教科書には書いていない嚙み砕いた知識」を発信します

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